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黄老師のちょっと辛口アジアンコラム
黄 家騁
黄 家騁

リアルでとても勉強になる黄老師のコラムです。

毎月テーマを変えて、連載でお送りいたします。

今月のテーマは、「万里の長城にこめられた「大地之龍」の秘術」をお送りします。
「万里の長城」の説明や「大地之龍」についてなど、とても勉強になるコーナーです。

  万里の長城にこめられた「大地之龍」の秘術  (2)


latest update 2006/07/14


始皇帝が長城に込めた夢・地理風水の力

 

 いずれにしても、秦の始皇帝が大変な犠牲をはらってまで造ろうとしたのには、実は、最高の「風水」の力を手に入れたいという思いがあったのです。当時、風水という言葉はありませんでした。しかし、その技術や思想はそのはるか以前からあり、伝えられていました。

 


 

 ところで、皆さんも「龍穴」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。この大地には特殊なエネルギーが流れていて、大地を何百何千キロメートルも走るエネルギーの流れは、時に大地を大きくせり上げ山々をつくり、時に地下深くに走って平地になり、時には河や湖の下に潜り込んでから再び丘のように大地を押し上げ頭をもたげ、まるで大きな龍がうねるようにして大地を走っているのです。こうした大地を走るエネルギーの流れを「龍脈」とか「地龍」と言っています。そして、その龍の動きが静かになり止まった場所、エネルギーが一箇所に流れ集まってくるその地点を「穴」(けつ)または「龍穴」(りゅうけつ)と呼ぶのです。このエネルギーの流れをいかに見つけ、いかに利用するか、その技術ははるか古代から受け継がれて来ていたのです。今に言う風水の中の「巒頭」(らんとう)や「尋龍点穴」(じんりゅうてんけつ)という技術がそれです。

 


 

 そして始皇帝にも、こうした知識があったのでしょう。その証拠に、秦の始皇帝が造ろうとしたのは万里の長城だけではありませんでした。長城建設のかたわら、世界最大の宮殿・阿房宮、さらに死後の巨大地下王国・始皇帝陵の建設にも着手していたのです。残念ながら、始皇帝はその完成を見ることなく死に、秦朝も数年後に滅亡してしまいました。始皇帝は、この三大建造物を造り上げることで、地龍の力それも最大級の「大地之龍」を我がものにして、秦朝を永久に栄える王朝に仕立てようと考えていたのです。

 

 実は、万里の長城は始皇帝以前からさまざまな国や王朝が造ってきていた各地の長城を、始皇帝がすべて繋ぎ合わせて一つにしたものなのです。始皇帝は、その工事で各地の山龍を一つの巨大な山龍つまり龍脈にしてしまいました。そのエネルギーを取り込んで、都・咸陽と秦王朝を千年王国にしようとしたのです。同時に、超巨大宮殿「阿房宮」を建造して「大地之龍」の力が皇帝の一身に集中するようにし、さらに「驪山帝陵」という巨大墓陵の建設によって、地龍の力を子々孫々にまで与えようと考えたのです。

 

 また同時に、この三大建造物によって天と人と地とを象徴させ、始皇帝は全てを自分の掌中に収めようとしたのです。

「天」=山々の峰を東の渤海湾から西の嘉峪関までつなぐ万里の長城をもって象徴。

「人」=周囲240km、その前殿だけで54万平方km という規模の「阿房宮」が象徴。

「地」=地底深くに埋め隠された「驪山帝陵」と多数の兵馬俑。全体約56平方kmという世界最大規模の墓陵が象徴。

 


 

 規模では比較になりませんが、現在でも風水師が理想とする「陽宅」(=阿房宮)、「陰宅」(=始皇帝墓陵)、そして「龍脈」(=万里の長城)という風水の三大要素と全く同じです。ただ始皇帝の目指したものは、空前絶後の超巨大な風水王国建設だったと言うことなのです。

 

 「風水」という古代テクノロジーは、相当古い時代から中国で伝えられて来ていました。それは戦争の状況を左右し、国家の興亡さえも決定するものとしての超機密的な秘術として扱われていたのです。だからこそ、始皇帝の死後、劉邦と戦った項羽が、未来への影響を憂慮して始皇帝陵を破壊し、阿房宮の一部に火を放って焼いたのです。

 

黄 家騁(こう・かてい) プロフィール 

易経学会常務理事兼易学主任講師、『易学月刊』編纂、中国医学研究所副教授、華岡伝統医学会副会長、AFA研究員ほか。古来、中国伝統諸学の筆頭に挙げられる易経を十代の頃より教え始め、その後、星象学や風水などを含め30数年に亘り教えている。著書には『易學堤要』、『易學與醫學之綜合研究』、『洪範易知』、『易術概要』、その他、易学と星象学関連で二千余篇におよぶ執筆がある。かつて李登輝前台湾総統からの感謝状、レーガン米国前大統領就任式典への招待状なども受けている。

 

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