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ここ数年、天文学上の大発見や事件が相次ぎ、特に太陽系に関する重要な発見は次のものでしょう。
【Quaoar(2002LM60)】 2002年6月、かつて冥王星が発見されて以来、最大の天体が太陽系内に発見される。公転周期約288年、冥王星から約6億km、地球から約64億kmの距離にあり、その直径は約1248kmで地球のおよそ十分の一。この遥か彼方の氷に閉ざされた星は、南カリフォルニアのインディアンの神話に伝わる「宇宙創造力」を表す言葉【クワオアー】がつけられた。
【Eris(2003UB313)】 2003年、冥王星よりも一回り大きい天体が発見され、2005年には暫定的に「Xenaゼナ」と名づけられ、2006年正式に「Erisエリス」と決まり、これが第十惑星と騒がれる。ギリシャ神話の「不和と争い」の女神の名前である。
そして、これらが引き金となって、今回の「惑星定義」と「冥王星降格」にまで繋がりました。しかし、2007年には天文学界の会議で再び「惑星定義」が議題になるはずです。そして2008年、十大惑星の名称に修正が加わるとともに、冥王星がその地位を復活させることになるはずです。 さて、かつて一度は第十惑星と定義された「エリス」。今は、冥王星と同じ「小惑星」の分類になりました。この「不和と争い」の女神の名前が冠せられた星の発見が、今日の天文学界の混乱を引き起こすきっかけになったのも、星象学的に捉えるなら偶然ではありません。更には、今のさまざまな社会不安や混乱とも無関係ではないと言えるのです。 次に、この悪さ好きな女神の神話をご紹介しておきましょう。
ギリシャ神話 エリスと黄金のリンゴ
●不和と争いの女神・エリス 「エリス」とは、ギリシャ語で「紛争」。そして古代ギリシャ神話に登場して不和や争いを引き起こす女神の名前が「エリス」です。彼女は「夜の神・ニュクス(Nyx)」の娘で、「混沌・カオスChaos」の孫娘。神話中の彼女の役割は、飢餓・悲しみ・戦争・争い・殺害・訴訟・確執・違法・苦労・傍若無人。しかし同時に、労働と競争を生み出します。 ギリシャ神話中の「エリス」とは、ローマ神話中の「ディスコルディア(Discordia)」でもあります。翼が生えていて、やはり紛争・不和・争い・衝突を司る女神なのです。
●三人の女神とエリスの黄金リンゴ ある時、プディア王ペレウスと妖精テティスの結婚式が行われました。ところが、あらゆる神々が招待された中、呼ばれなかった「エリス」は怒り、「最も美しい女神に捧げる」と文字が刻まれた黄金のリンゴを、客席に投げ込んだのです。 とたんに、戦いと知恵の女神・アテネ(Athene)、結婚母性の女神・ヘラ(Hera)、そして美と愛の女神・アフロディーテ(Aphrodite)の三人が、その美しさを競って、争いを始めたのです。 一歩も譲らぬ三人の様子を見たオリンピアの主神・ゼウス(Zeus)は、自ら関わるのを避け、彼女たちを羊飼いの美青年・パリス(Paris)のもとに行かせ、判断を仰がせることにしました。パリスは、三人の女神それぞれから贈り物の申し出を受けます。ヘラは彼に権力と財富を、アテネは彼に戦いの栄誉と名声を、そしてアフロディーテは彼に世界で最も美しい女を妻とさせることを、それぞれ持ちかけて自分に有利な決定を下させようとしたのです。 結局、パリスはアフロディーテの「美女」の贈り物に心惹かれ、黄金のリンゴをアフロディーテに渡しました。そこで、アフロディーテは、パリスに絶世の美女・ヘレン(Helen)を与えることを約束し、パリスとともにギリシャのスパルタ国へ向かいます。
●トロイ戦争〜エリスのリンゴが引き起こした十年の争い〜 ヘレンは、数え切れないほどの王子や勇者が求婚する中、メネラオスと結婚。ヘレンは、スパルタ国王となったメネラオスと幸せに暮らしていました。そこへパリスが訪れたのです。アフロディーテは、ヘレンの夢の中で彼女にパリスと一緒になることを勧めます。ヘレンとパリスは恋に落ち、パリスはヘレンを奪いトロイへ連れ帰ったのです。 これをきっかけに、ギリシャの諸王はトロイに遠征、十年にも及ぶ「トロイ戦争」が始まることになりました。
●エリスが持つ、もう一つの側面 〜競争の女神〜 すべては、エリスの投げ込んだ「黄金のリンゴ」から始まったのです。ただ、それとは別に、エリスは人間に活力をもたらす善良な女神という側面も持っています。競争の女神という一面です。 ヘラクレス(Heracles)が若い時、十字路で二人の美女に出遭いました。一人は「怠け者美女」でヘラクレスに「のんびりした生活」を、もう一人は「競争の美女」でヘラクレスに「苦労」と「栄光の人生」を与えてくれると言います。 ヘラクレスは、「競争」を選びました。彼は、その後、多くの輝ける功績を挙げました。そして、この「競争の女神」こそ「エリス」だったのです。
 ▲2003UB313「エリス」(発見当初、ゼナXenaとも呼ばれ、第十惑星と見なされた)
このように混乱を生み出す「エリス」の名を持つ天体の発見と、天文学界の混乱を含め近年の社会不安は無関係ではありません。同様に、冥王星の地位の変動、そして太陽系惑星の定義づけが、社会の動きとどのように関係しているのか観察し続けてみてください。既に述べてきたように、冥王星の「起死回生の力」の成り行きは天象と地上の呼応を直に感じ取る上で、貴重な資料になるはずです。
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