今日の運勢や恋愛占い、相性占いなど各種占いを中心に幸運体質を作る支援をするサイト
占い(無料占い、恋愛占い)のageUN アゲコレ! 登録
変更
メルマガ
占い(無料占い、恋愛占い)のageUN【TOP】 占い・心理 目的別 占い師別 占法別 アゲ運グッズ ageUNとは
コンテンツ一覧
恋愛運をアゲる

仕事運をアゲる

美容・健康運をアゲる



占い・心理 全般

アゲ運グッズ

コラム

ageUNとは

TOP > 占い・心理 > 田宮規雄のミステリー小説
田宮規雄のミステリー小説
田宮 規雄
田宮 規雄

ご挨拶
  私は現在、占い師として活動しているが、最初になりたいと思った職業は小説家である。中学生の時分から小説めいたものを書いていた記憶がある。当時の愛読書が松本清張やアイザック・アシモフで、このころすでに大人の小説を読みふけっていた。大学生のころは、ジュニア小説なども書いた。
 30を過ぎて、ミステリーに転向した。と同時に、小説講座に通い始めた。講師は『伯林(ベルリン)――1888年』で江戸川乱歩賞を受賞した海渡英祐氏。週一回のペースで、私の小説講座通いは十年に及んだ。今回、発表する小説はそのころに書いたもので、当然のことながら、パソコンも携帯電話も出てこない。読者が、小説の背景に違和感を覚えるとすれば、それはそうした事情からである。
 小説の主人公笹岡は、コードレスホンの傍受をしていて、偶然に殺人計画を聞いてしまう。彼は、犯行を阻止できるのか? そして、タイトルの表す「殺意の半径」とは、いったい……

  殺意の半径  (1)


latest update 2007/11/23


 コードレスホンの傍受をしていた笹岡幹夫は、偶然に殺人計画を聞いてしまう。4日後に一人の女が殺される。何としてでも阻止しなければ。笹岡の孤独な闘いが始まった――。


― 1 ―


 笹岡幹夫は、左手に持った広帯域受信機のスイッチを入れた。受信機、といっても携帯用のそれで、トランシーバーか何かのように見える。機械から、ゴムだかビニールだかでおおわれた、先の丸いアンテナが伸びている。本体の上部には液晶ディスプレイ。その下に、複雑なボタンがいくつもならんでいた。
 5月3日。休日の午後である。晴れやかな町並が、窓の外にひろがっていた。
 380メガヘルツ帯に合わせてスキャンを開始する。ディスプレイの上を瞬くように数字が流れ、すぐに入感してきた。
「鎌田ですけれど――」
 女の声だ。若くはない。笹岡と同年配ぐらいか。
 笹岡はイアフォンをいじった。本来、イアフォンなどつけて聞く必要もない。木造アパートとはいえ、ボリュームさえしぼれば、隣室に音がもれることもないだろう。
 時々、そのことで笹岡は苦笑する。盗聴をしている者が、隣室にもれ聞こえるのをおそれている……。いや、というより、やはりその行為にどこかでうしろめたさを感じているからなのだろう。
 もっとも、厳密には、この程度は盗聴とはいえないかもしれない。たれ流しになっているコードレスホンの電波を傍受しているだけなのだから。
 笹岡は、女の声に耳を澄ました。
「先日おうかがいした時に、そちらに傘を忘れてきてしまったの」
「ああ、ディオールの傘でしょ。あるわよ。すてきな傘ね」
 電話の受け手も、やはり40年配の女性だった。
「今日、そちらの方へ出かける用があるので、取りに行っていいかしら」
 笹岡はその会話に見切りをつけると、ふたたびスキャンを開始した。
 41歳。離婚歴のある中年男の趣味としては、けっして健康的とはいえない。だが、その趣味は、笹岡をひきつけてやまない妖しい魅力をもっていた。機械を手にすることで、彼は、神のようにあらゆる空間に身を置くことができた。自分の前で、男が、そして若い女が、衣服を脱ぎ捨てるようにその私生活をさらけ出す……。イアフォンからプライベートな会話が流れ出すと、笹岡はかすかな興奮をおぼえ、体がふるえた。
 笹岡にこの趣味を教えたのは、自動車整備工場に勤める同僚の八木俊則であった。同僚といっても、八木は24歳。笹岡より17も年下である。が、八木とはふしぎに気が合った。
 ひと月ほど前、その八木から居酒屋にさそわれた――。


『笹岡さん、これからうちに来ませんか』
 居酒屋のカウンターで飲み始めてから、2時間ほどが経過していた。八木の顔はだいぶ赤くなっていた。
『えっ、これから?』
 笹岡は腕時計を見た。時刻は、午後9時をまわっていた。
『これからがゴールデン・タイムなんです。いいものを聞かせてあげるから』
 八木は、屈託のない笑いを浮かべた。笑うと、少年のような顔になる。額に無造作にかかった髪も、その印象を強めていた。
『何だい、いいものって?』
裏ビデオでも見せてくれるのか、とも思ったが、それなら『いいものを聞かせる』とはいわないはずである。
 八木が、秘密めかしてそれ以上語らないことも、笹岡の興味をさそった。
 八木の住まいは、居酒屋から歩いて6、7分ほどの距離にあるアパートだった。笹岡のアパートとはちがい、白い壁の新しい建物であった。
『まあ、どうぞ』
 うながされて、笹岡は靴を脱いだ。
 男の部屋にしては小ぎれいで、きちんと整理されている。八木の几帳面な性格を思わせた。
 部屋には、壁に寄せてベッドが配されていた。右手に、ステレオ・コンポが積み上げられ、その上にデジタル時計がのっている。
 窓際にすわり机があって、ダイヤルやボタンのならんだ黒い機械、テープレコーダー、『周波数帳』と書かれた厚い本、アンテナのついた小型の機械などが置かれていた。机の下には、車の雑誌が、数冊積み上げられている。
 笹岡はあぐらをかいてすわると、八木のつくってくれたシーバスの水割りをなめた。
『笹岡さん、タクシーの運転手をしていたんですって』
 と八木がいった。
『どうして知っているんだ?』
 不安が、笹岡の胸に影を落とした。
『社長に聞いたんです。笹岡さん、自分のことほとんどいわないから』
 社長の飯塚の顔が浮かんだ。60歳になる男で、白髪まじりの短い頭髪、いつも笑顔を絶やさず、にこやかな表情を浮かべている。
 よけいなことを……笹岡は、舌打ちしたい思いであった。
『ほかに、何かいっていた?』
『いいえ。タクシーがきつくなって、やめたんだって。そんなにきついんですか』
『ああ……うん。大変な商売だ。事故件数にしても、一般車両の3倍ぐらいはあるだろう』
『そんなに。笹岡さんも、事故か何か起こしたんですか』
『いや……そうじゃない』
 笹岡は言葉を濁した。過去のことにはふれられたくなかった。とくに、タクシーをやめてから数年のことには。それを語れば、八木の笹岡を見る目も変わってくるかもしれない。笹岡はそのことにおびえた。
『ところで――』
 と、笹岡はいった。話題を変える意味もあった。
『いいものを聞かせるって?』
『ええ』
 八木の表情が、急にパッと明るくなった。
 机に近づくと、黒い箱のような機械のスイッチを入れた。ディスプレイにライトが灯る。八木の指が、ボタンやダイヤルを操作した。と、機械に内蔵されたスピーカーから、声が流れ出した。
 若い女の声だった。それに、男の声が交じる。
 しばらく聞いていて、笹岡はそれが電話での会話であることに気づいた。二人は、恋人どうしらしい。
『これは?』
 と笹岡はきいた。興奮が、彼をとらえていた。脈拍が速くなっているのが、自分でもわかった。
『コードレスホンの電波を傍受しているんです』
 八木はうれしそうにいった。
『盗聴か』
『やだなあ。盗聴なんていわないでくださいよ。合法的な電波の傍受なんです。別に、盗聴器をしかけたりしているわけじゃない』
『へえ、しかしね……』
 笹岡はおどろきを感じていた。八木のいう『傍受』が、こんなにも簡単にできるものなのか。
 笹岡がそのことをきくと、
『そりゃあ、電波を使っている以上、だれかには聞かれますよ。喫茶店で、隣の席の会話が聞こえるようにね。コードレスホンというのは、いってみれば無線機と同じですから。聞かれる方だって、あまりにも無防備なんです』
 あとで知ったことだが、八木のような受信マニアは、全国で50万人以上はいるという。しかも、そうしたマニアを対象にした雑誌まで発行されている。
『この女、渡部真弓っていうんですけれど――』
 八木がにやりとした。受信機から聞こえてくる男の話にも、たしかに時々、『真弓』というよびかけがはいる。
『ほかの男ともかけもちしているんです。まったく、よくやるよって感じ』
『君は――』
 といいかけて、笹岡はグラスに手を伸ばし、一口飲んだ。のどがひからびていた。
『いつも、この真弓さんの電話を聞いているの?』
『いや、彼女の電話とはかぎりません。電波のとどく範囲なら、すべて傍受できますから』
『それは、どのくらいの範囲?』
『一応、半径100メートルといわれてますけれど、実際は200メートルぐらいまではいります。障害物のない、高層マンションの上の階で電話を使用した場合だと、2キロも電波が飛ぶこともあります』
『2キロ……』
 笹岡は唖然とした。いや、仮に半径200メートルとしても、その円の中にはかなりの数の住宅や建物がふくまれる。そして、そこでコードレスホンを使用した場合、プライバシーはすべて筒抜けになる……。それは、笹岡がいままで知ることもなかった世界だ。その世界で、八木は、喜々として遊んでいる。
『広帯域受信機っていうんですけれど、消防無線や航空無線、携帯電話、自動車電話なんかも傍受できるんです。ラブホテルにしかけられている、盗聴器の電波を拾うこともある。これを聞いていると、世の中がまったくちがったものに見えてくるんです』
 笹岡はうなずいた。この見慣れた世界を、そうした電波が埋めつくしている……。そのイメージは、笹岡を興奮させた。
『その機械、高いのかい?』
 と、笹岡は、興奮を悟られまいとして、わざとゆっくりとした口調できいた。
『ええ、まあこれは10何万かしますけれど、コードレスホンの傍受だけだったら、こっちのやつで十分です』
 八木は、手を伸ばして、アンテナのついた携帯用の受信機を取った。
『これなら4、5万で買えます』
 もともと、八木のような受信マニアというのは、徒党を組む性質のものではない。八木は、まるで仲間を得たように、うれしそうに機械の取り扱い方法を説明した。
『それから、これも一緒にそろえておくといいですよ』
 八木は、卓上受信機とコードで接続してある、黒い平たい機械に手を置いた。ダイヤルとスイッチがついているだけの、おそろしく単純な機械だ。
『それは?』
『秘話解読装置。1万円ぐらいで買えます』
『………』
『いまのコードレスホンには、盗聴防止機能がついたりしているんです。もっとも、音声反転式の単純なやつだから、どうってことないですけど』
 笹岡も、テレビのコマーシャルでそれを見たことがある。コードレスホンの宣伝で、若手の女性人気タレントが、『人の話を盗み聞きしちゃ、だめっ』というのだ。
『まあ、秘話がかかっているのは、全体の2パーセントぐらいのものですけれどね』
 何日か考えたのち、笹岡は、八木に教えてもらった秋葉原のショップで、それらの機械を手に入れた。


……続く    


 

 

 

 

田宮 規雄(たみや・のりお) プロフィール 

1951年広島県生まれ。占術家の長男として生まれ、父親の薫陶を受けて育つ。23歳から本格的に中国占術の研究に入り、透派13代掌門張耀文師より「印可」を授かる。占い専門学校などでの講師歴は30年に及ぶ。中国系占術のみならず、西洋占星術にも通じている。現在、中国開運占術学会を主宰。日本占術協会理事。
著書に『三式家相盤完成図』『七政星術奥義』などの専門書をはじめ、『秘伝紫薇斗数占術』(祥伝社)、『赤ちゃんの命名事典』(小学館)、『たまひよ版赤ちゃんのしあわせ名前事典』(ベネッセ)、『もっともわかりやすい紫微斗数占い』(説話社)などがある。「MISTY」「恋運暦」「たまごクラブ」などの雑誌でも活躍中。中国占術による鑑定、教授、パソコンソフトの取り扱いなども行っている。
@nifty:アジアン占術物語「中国式四柱推命」「紫微斗数」が人気。
田宮規雄の占い塾HP→http://tamiya.chu.jp/index.html

 

BackNumber
Copyright (C) 2003-2008 ageUN Co.,Ltd. All Rights Reserved.
掲載の情報・画像など、すべてのコンテンツの無断複写・転載を禁じます 。
 
Promotion
ANA Latte キャビンアテンダントがナビゲートする旅のエッセンスガイド
草花木果 トライアルキット
恋に効くサプリ
ご相談募集中

「アゲウン相談室」では、あなたのお悩みを募集しております。

西洋占術界・東洋占術界でご活躍される占術師陣があなたのお悩みにアドバイスします。

お気軽にご相談くださいね。

相談へ進む
はてなに追加
MyYahoo!に追加
livedoorClipに追加
Googleに追加

ブックマークプラス
by SEO対策