今日の運勢や恋愛占い、相性占いなど各種占いを中心に幸運体質を作る支援をするサイト
占い(無料占い、恋愛占い)のageUN アゲコレ!
占い(無料占い、恋愛占い)のageUN【TOP】 占い・心理 目的別 占い師別 占法別 アゲ運グッズ ageUNとは
コンテンツ一覧
恋愛運をアゲる

仕事運をアゲる

美容・健康運をアゲる



占い・心理 全般

アゲ運グッズ

コラム

ageUNとは

TOP > 占い・心理 > 田宮規雄のミステリー小説
田宮規雄のミステリー小説
田宮 規雄
田宮 規雄

ご挨拶
  私は現在、占い師として活動しているが、最初になりたいと思った職業は小説家である。中学生の時分から小説めいたものを書いていた記憶がある。当時の愛読書が松本清張やアイザック・アシモフで、このころすでに大人の小説を読みふけっていた。大学生のころは、ジュニア小説なども書いた。
 30を過ぎて、ミステリーに転向した。と同時に、小説講座に通い始めた。講師は『伯林(ベルリン)――1888年』で江戸川乱歩賞を受賞した海渡英祐氏。週一回のペースで、私の小説講座通いは十年に及んだ。今回、発表する小説はそのころに書いたもので、当然のことながら、パソコンも携帯電話も出てこない。読者が、小説の背景に違和感を覚えるとすれば、それはそうした事情からである。
 小説の主人公笹岡は、コードレスホンの傍受をしていて、偶然に殺人計画を聞いてしまう。彼は、犯行を阻止できるのか? そして、タイトルの表す「殺意の半径」とは、いったい……

  殺意の半径  (7)


latest update 2008/01/11


― 7 ―


 5月6日、金曜日――。
 飯塚自動車からアパートに帰りつくと、8時だった。腹がへっていた。
 弁当屋で買ってきた幕の内を食べ、お茶を飲んだ。
 食事を終えると、すぐにワッチを開始する。この数日の疲労が、澱のように胸にたまっていたが、ワッチをくり返す以外に、手だてはない。それは、笹岡と真沙美をつなぐ細い糸であった。
 昼間、仕事をしている最中も、気が気ではなかった。いま、この瞬間にも電話がかかっているのではないか……そう思うと、気持があせった。つまらないミスを重ね、そのたびに、飯塚の目がにらんだ。
 真沙美は、どこかこの近くにいる。だが、それはどこなのか――。考えてみれば、同じアパートに住んでいる住人のことさえ、よく知らない。数多くの人々が、このアパートの周辺に住み、笹岡とは無縁の生活を送っているのだ。
 明日の土曜日……真沙美は殺される。何としても、それだけは防がなければならなかった。もし、真沙美が殺されるようなことになれば、おれは、生涯十字架を背負って生きつづけなければならないだろう。
 笹岡は涙がにじんだ。涙は頬をつたい、畳に落ちた。真沙美と過ごした日々……それはかけがえのないものだった。彼女は、どこかで幸せな結婚をしてくれているのものだと思っていた。そう願っていた。それが……何ということだ。
 男は、前の妻を事故で亡くしているという。どんな事故だったのか。はたして、ほんとうに事故だったのか。いずれにしても、真沙美は、保険金を得るための道具として、男に選ばれたのだ。
 イアフォンからは、夜の街を飛び交う電波が、音声となって流れていた。
 女子高生のたあいない話……帰るコール……男どうしの仕事の話……ヨガの教室に通っているらしい主婦の会話……。笹岡は、それらを次々とスキップした。
 ルルル……ルルル……。
 受信機が、電話の呼び出し音をとらえた。
「はい、佐藤です」
 女の声。
 笹岡は眉をひそめた。
「あっ、真沙美? ユウコです」
 笹岡は体がふるえた。つかまえた! 真沙美の通話を、ついにとらえたのだ。
 受信機をにぎりしめたまま、笹岡はアパートをとび出した。
 アパートの前で、八木に教えられたように、くるりと一まわりした。音声が、波のようにゆれた。なつかしい声だった。笹岡が、もう二度と聞くことはないだろうと思っていた声だった。胸に、さまざまな感情がこみ上げた。真沙美の顔が浮かぶ。表情までが、手に取るようにわかった。
「ユウコ、どうしたのよ? 何度かかけたんだけれど、留守番電話になっていて……」
 真沙美がいっていた。
 笹岡は、受信機の感度が高まる方向に、速足になった。
「箱根に、旅行に行っていたのよ」
「そう……彼と?」
「ええ」
「どうだった、箱根は?」
 笹岡はビルの角をまがった。ノイズがはいる。音声がかすれ、小さくなった。
 ちがう。
「とにかく、人が多くて……」
 笹岡は立ちどまり、受信機を胸に抱いて、そこでもう一度くるりとまわった。
 その時、カシャカシャという音が、受信機にはいった。キャッチホンの音だ。
「あっ、ちょっと待って。電話がはいったみたい」
 ユウコの声。
 しばらく、無音の状態がつづいた。笹岡はその場に立ったまま、街路灯にうっすらと照らし出された夜の闇を見まわした。近い。どこだ――。心臓が、はげしく動悸を打っている。肌に、冷たい汗が浮いていた。
「ごめんなさい、真沙美。彼が、すぐ近くまで来ているんだって。また、電話するから」
 切るな! 切るんじゃない。――笹岡は、無言の叫び声を上げた。
「そう……。じゃあ、彼によろしくね」
 耳の奥に、ガチャと受話器を置く音が反響した。
 笹岡はしばらく、身動きすることも、息をすることもできなかった。体が硬直し、挫折感が彼を浸した。
 真沙美を飲みこんだ夜の闇を、笹岡は茫然と見つめていた。


 笹岡は、疲れ切ってアパートにもどった。畳に横たわって、息を整える。ふたたび、ワッチする気力もなかった。今夜はもう、電話はないかもしれない。
 ユウコという女を呪いたかった。
 佐藤……そう、真沙美は名乗った。それが、彼女の姓だろう。佐藤真沙美……。名前がわかっただけでも、収穫にはちがいない。
 これから、どうするか……笹岡は思考をめぐらせた。
「電話帳か」
 つぶやきが、口をついて出る。
「電話帳だ」
 笹岡は立ち上がった。彼は、気持が昂揚しているのを感じた。確実に、真沙美に一歩近づいたと思った。  アパートを出る。付近の公衆電話には、電話帳がそなえられていなかった。夜の道を、駅に向かって歩いた。
 しばらく行くと、電話ボックスが見えた。ジーンズ姿の若い男が、ボックスの中で電話をかけている。髪の一部に、鮮やかな黄色のメッシュがはいっていた。電話機の下に設置された棚には、数冊の電話帳があった。
 ボックスの前に立って、待った。
 ガラス・ドア越しに、男の声がもれてくる。時々、けたたましい笑いを発した。女とでも話しているのか。甘ったるい声で、おもしろくもない話をしている。
 そのうち、男は、シャツのポケットから煙草を取り出して、口にくわえた。ライターで火をつける。ボックス内に、もうもうと紫煙を吐き出す。
 男は、外で笹岡が待っていることを知っているはずなのだ。
 笹岡はドアをノックした。男はふり向きもしない。もう一度ノックする。男の顔がこちらを向き、笹岡をにらみつけた。
 笹岡は頭を下げた。早くしてくれ、という言葉をこめたつもりだった。
 男の顔がそれ、またけたたましい笑い声を上げた
 ノックする。
 男は、いきなり、片方の手でドアを押しあけた。怒りが、顔にあらわれていた。
「うるせえんだよ、おっさん!」
「頼む、早くしてくれ。いそいでいるんだ」
 男は受話器に向かうと、
「どっかのおっさんが、ギャアギャアわめいてんだよ。――そうか。わかった。じゃあ、また電話するからよ」
 男は、やっと受話器をフックにもどした。笹岡をにらみつけて、ボックスから出る。
 突然、笹岡の脚にきつい蹴りがはいった。
「このやろう! 超むかつくぜ」
 威すようにいうと、男は歩み去っていった。
 笹岡はドアをあけた。煙草の臭いがこもっていた。
 区の50音の電話帳をひらく。
 佐藤……佐藤……。ページを繰った。
 佐藤姓は、10ページ以上もあった。笹岡は、それらのページをまとめてつかむと、電話帳から破り取った。
 アパートにいそいだ。男に蹴られた脚が、うずいた。
 部屋にもどると、1時間近くかけてそれらをチェックした。
 佐藤真沙美では、載っていない。載っているとすれば、亭主の名前だが、笹岡はそれを知らない。付近に住んでいる佐藤姓の人間をリストアップした。全部で、7名いた。
 時計を見る。午後10時に近かった。
 電話機を引き寄せた。
 真沙美が出たら、何といおうか……。考えがまとまらぬまま、笹岡は受話器を取り上げた。
 番号をプッシュする。
 笹岡は、コール音を数えて、相手が出るのを待った。
「はい、佐藤です」
 女の声だ。真沙美ではなかった。
「あ、あの……そちらに、真沙美さんいらっしゃいますか」
「どちらにおかけです?」
 年配らしい女の声が、不機嫌になった。
「すいません。まちがえました」
 笹岡は電話を切った。
 ため息をつくと、ふたたび受話器を取った。


 あと、1つ……。
 最後の1つだった。電話帳には、「佐藤光浩」と記されている。
 緊張した。笹岡は、ズボンで掌の汗をぬぐった。
 番号ボタンを押した。
「はい」
 と無愛想な男の声がいった。あの男ではなかった。
「あの……佐藤さんですか」
「そうですが。どちらさん?」
「ええ……真沙美さん、いらっしゃいますか」
「………」
 男は、不審感を抱いたようだった。
「マサミは、いま新婚旅行に行ってますが。おたく、どちらさんです? 娘に、何か用ですか」
「いえ……」
 笹岡は受話器を置いた。疲労感がきた。殺風景な部屋の中に、電話帳の紙切れが蝶の死骸のように散らばっていた。
 真沙美は、転入してあまり間がないにちがいない。そのために、電話帳に記載されていないのだ。 いったい……どうやって、さがせばいいのだろう。やはり、警察にいうしかないのだろうか。アパートを中心とした半径200メートルの地域。その中に住む佐藤真沙美という女……これだけのデータがあれば、警察も何とかできるかもしれない。しかし……
 笹岡は嘆息した。
 もう、時間がない。受話器を取り上げた。番号ボタンを押す指がふるえた。
「はい、こちらは110番」
「………」
「もしもし。110番ですが、どうしました?」
「あ、いえ……」
 のどに異物がからんだような声で、ようやくそれだけいった。目の前に、黒い霞がかかった。
 笹岡は、たたきつけるようにして受話器を置いた。
 電話が鳴った。笹岡は、ビクッと体を動かした。
「はい……」
「こちら、警視庁ですが。ほんとうに何もないんですね?」
「あ、はい……」
「いたずら電話をすると罰せられますので、注意してください」
「はい」
 電話は切れた。体に、冷たい汗が流れていた。


……続く    


 

 

 

 

田宮 規雄(たみや・のりお) プロフィール 

1951年広島県生まれ。占術家の長男として生まれ、父親の薫陶を受けて育つ。23歳から本格的に中国占術の研究に入り、透派13代掌門張耀文師より「印可」を授かる。占い専門学校などでの講師歴は30年に及ぶ。中国系占術のみならず、西洋占星術にも通じている。現在、中国開運占術学会を主宰。日本占術協会理事。
著書に『三式家相盤完成図』『七政星術奥義』などの専門書をはじめ、『秘伝紫薇斗数占術』(祥伝社)、『赤ちゃんの命名事典』(小学館)、『たまひよ版赤ちゃんのしあわせ名前事典』(ベネッセ)、『もっともわかりやすい紫微斗数占い』(説話社)などがある。「MISTY」「恋運暦」「たまごクラブ」などの雑誌でも活躍中。中国占術による鑑定、教授、パソコンソフトの取り扱いなども行っている。
@nifty:アジアン占術物語「中国式四柱推命」「紫微斗数」が人気。
田宮規雄の占い塾HP→http://tamiya.chu.jp/index.html

 

BackNumber
Copyright (C) 2003-2008 ageUN Co.,Ltd. All Rights Reserved.
掲載の情報・画像など、すべてのコンテンツの無断複写・転載を禁じます 。
 
Promotion
ANA Latte キャビンアテンダントがナビゲートする旅のエッセンスガイド
恋に効くサプリ
ご相談募集中

「アゲウン相談室」では、あなたのお悩みを募集しております。

西洋占術界・東洋占術界でご活躍される占術師陣があなたのお悩みにアドバイスします。

お気軽にご相談くださいね。

相談へ進む
はてなに追加
MyYahoo!に追加
livedoorClipに追加
Googleに追加

ブックマークプラス
by SEO対策