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誰が最初に始めたのか定かではないが、おそうじ風水の本が何冊も出ている。そして、そのどれもが売れているらしい。中には、またお遊び風水の本を、と眉をひそめる人もいるかもしれないが、必ずしもそうとはいえない。少なくても、西に黄色のカーテンを、などというおまじない風水よりはずっとまともだ。というのは、このおそうじ風水には一理あるからである。もっとも、トイレをきれいにすれば金運がアップするなど、わけの分からないものもあるが……。
さて、風水――家相には、大きく二つの見方がある。それが理気(りき)と巒頭(らんとう)である。理気とは、純粋に占い上の理屈による判断である。家相を診断するための盤を作り、どの方位にどんな星が回っているかで判断していく。通好みの見方といえる。
もう一つが巒頭である。巒頭とは目に見える吉凶のことで、心理的空間的影響は大きい。たとえば、書斎のデスクは壁を背にして入口を向けて配置する、などである。もちろん、私の仕事場もそうなっている。昭和52年刊の『深層心理術』(多湖輝著ごま書房)の一節にこんな文章がある。引用してみよう――。
『部屋の入口と奥のどちらに背を向けるかという問題について言えば、奥に背を向ける人のほうが、入口に背を向けた人より、多くの場合、心理的に優位あるいは上位にあると言える。
(中略)
人間は、眼が前方しかとらえられないようにできているので、つねに背後に不安を感じる。そこで、背後がまったく安全で有利な場所に席を取るのは、最上位の者ということになる。』
そして、まさに社長室がそうなっている。壁を背にして入口を向いて座るというのは、言葉を換えて言えば「上座」である。上座は心理的に優位に立ったり、気持ちに余裕が生まれるなどの効果がある。そのため、書斎、応接室、子供部屋などのデスクや家具はそのように配置しろと家相では教えているのだ。
これが巒頭である。巒頭はこのように分かりやすいし、誰にも納得しやすい。家相というとつい理気を重視しがちだが、その効果は巒頭が8割、理気が2割といわれている。つまり、巒頭さえきちんとしていれば、まずは安心ということになる。
この巒頭は、もちろん各部屋についてある。詳細については省略するが、ポイントは次の4つ。
@大きすぎない。
A小さすぎない。
B豪華すぎない。
C粗末すぎない。
ここでいう「適度」については明確な基準はないが、家全体の中でのバランス、あるいは社会的経済的水準に応じた「適度」ということになる。俗に「山師の玄関」という言葉がある。山師とは、投機的な事業で金儲けをたくらむ人、また、儲け話を持ちかけて他人を欺く人のことで、分かりやすくいえば、成金、詐欺師などである。三省堂『大辞林』によると、山師の玄関は次のように説明されている。
山師の玄関……(山師が玄関を立派にすることから)みかけばかり立派なたとえ。こけおどし。
家相ではもちろん、この山師の玄関は凶相である。家全体に比べて玄関が大きすぎたり豪華すぎたりした場合、日常生活が派手になったり、浪費が激しくなったりする。その理由は説明するまでもないだろう。家とは、そこに住む人の心理の投影であるからだ。 家相、風水というと一般の人には分かりづらいかもしれないが、実はこうした当たり前の「常識」に基づいて判断していくものなのだ。
ところで、各部屋には「機能」がある。たとえば、子供のこと、あるいは子供との関係をみていくのは子供部屋になる。この子供部屋が大きすぎたり豪華すぎたりすると、過保護になったり、生活が子供中心になって家族が振り回されることになる。反対に、子供部屋が小さすぎたり粗末すぎたりすると、子供に対して無関心になりやすい。
同様に、隠居部屋は老人との関係、寝室は夫婦関係に影響する。書斎は住人の知的レベルをつかさどる。ここらへんは分かりやすいが、他の部屋はどうだろう。
門……社会的地位、対外関係を表す。
浴室……その家に住む人の健康運、また未婚の男女の異性関係をつかさどる。
キッチン……食生活の中心であり、健康運や食に対する関心度を示す。
リビング……家族間のコミュニケーションをつかさどる。
トイレ……健康運、また衛生観念などを表す。
これらの部屋が適度か、きちんと機能しているかをみていくのが巒頭の見方である。もし凶相になっていれば、改善すればいい。その改善法の一つが「おそうじ」である。とくに浴室やトイレは「清潔である」ことが吉相の条件になっている。異性運をアップしたければ、まずは浴室をきれいにすることだ。じめじめしてカビが生えたり、汚れた浴室では、異性関係がうまくいかないことになる。
午後6時台のニュース番組で、ゴミ屋敷が特集(たいていは食事時!)されることがあるが、ゴミ屋敷に住んでいて運気をアップさせることなど到底不可能である。おそうじは、最も手軽な開運法といえる。私なども、仕事が一段落すると、まずはそうじである。すると、気持ちまですがすがしくなって、ハイになる。
この原稿を読んでいるあなた。さあ、今すぐおそうじしましょう!
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