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陰者というのは、江戸時代の士農工商以外の者で、医者、易者、神官、僧侶、学問や武道の師匠、書家、画家、俳諧(はいかい)、諸芸、連歌(つれうた)、茶花、その他、遊芸、噺家などのことじゃ。《男面の年寄りじみた人相》と思えばよかろう。常に袖の長いものを着ていたところから長袖(ながそで)とも言う。長袖を着るといかにも風流で自由そうに見えるが、正にその通りじゃ。世の主流となることなく、脇役として世を支えるのが陰者じゃ。
陰者にも《上中下》があるが、その見分け方は《落ち着きがあり、品があり、みやびで、眼の相が良ければ上相》と判断してオッケーじゃ。反対に、落ち着きが無く、軽々しく、俗っぽく、濁って、眼の相が悪ければ下相じゃ。上相の者は運命もエエが、下相の者は悪人か貧乏か孤独かのどれかの運命じゃ。陰者というのは一般の者とは逆で《世人が天を仰ぐ形あれば、隠者は地を見る形あり》《世人は髪濃く髭薄ければ、陰者は髪薄く髭濃し》《世人は面黒く体白ければ、陰者は面白く体黒し》《世人は骨格円(丸みがある)なれば、陰者は骨格方(目立たず角張る)なり》《世人は俗なれば陰者は雅なり》ということじゃ。陰者面というのは、一種独特の風貌を備えた異相じゃ。次に《陰者面の上相》の特徴を順次上げるから、よく覚えてもらいたい。上相の者はその道で必ず成功すると判断して間違いない。下相は上相の裏返しと思えばよかろう。成功はおぼつくまい。
○眉骨が高いが、骨立たず○髪が硬(剛)く多いが、むさ苦しく見えず○形は強いが、厳(いかつ)くは見えず○眉は薄いが、よく目を覆う○山根(さんこん・目と目の間、鼻の根元)が締まっているが、摘んだようには骨立たず○法令紋(小鼻から口の左右へ流れる紋)が鮮やかに見えるが、深く切り込まず○威厳があるように見えて、優しい○柔和に見えて、近寄り難い○眼は細く優しく見えるが、何となく人を射る。
これで、男面、女面、童面、妾面、遊女面、若衆面、陰者面の見方を終わるが、それぞれの面の《相》と《性分》と《運命》の特徴をざっと覚えたら、とにかく、実地で人を観察して判断することじゃ。尚、観面秘録を深く研究したい者は、目黒玄龍子という先生の「四次元人相学 相法原基」という本が、東洋書院から出ておるからお薦めじゃ。但し、本腰で読まんとよう分らんぞ。とにかく、面の見分けがつかんと話にならんからのう。
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